航空講座

第一回:翼

はーい♪皆さんこんにちはー。
当講座の講師を務める、いぶきですー。
生徒役の楓と
妹の梢(こずえ)ですぅ。
皆さんよろしくね☆
さて、せっかくHPの主が飛行機乗りだから、
こーゆーコーナーがあってもいいんじゃないか
と思って始めたこの講座、まず、
記念すべき第一回目は
何故飛行機が飛ぶのか、
その原理について触れてみましょう。
えー?何で飛ぶかなんて、
小学生でも判るじゃーん。
それもそうですねぇ。
ほほー、じゃ、何で飛ぶの?
決まってるじゃない、
翼がついてるからだよねー?梢。
そう、推力はエンジンです。
ジェットとかぁ、レシプロとか。
そうね。モチロンそれは正しいわ。
じゃあ、物理的に
何故,翼が有ると飛ぶの?
そ、そりゃー翼で風を切って・・・・・あれ?
そういや何で翼って風を切ると飛べるんだろ?
ほら、ね?上手く説明出来ないでしょう?
じゃぁまず、この図を見て。
これが翼の断面図です。
この図を使って説明しましょう。
さて、コレを見て
何か気がついた事は有るかしら?
うーん・・・・、
あ!翼って上下対象じゃないんだー。
弓なりになってるんですね。
そう!それがポイントね。
微妙に反る事が
「揚力」発生する時の
重要な仕組みになってるの。
「揚力」?
そ、物体を引力に逆らって
上に持ち上げる力の事ね。
翼型各部の名称
前縁:翼の最先端
後縁:翼の最後端
翼弦線:前縁と後縁を結んだ線
翼弦長:翼弦線の長さ
中心線:翼型の上下の中心線(通常上に湾曲)
最大翼厚:翼型の最大の厚さ
キャンバ:中心線の反りを表せた物。翼弦線から
      中心線までの高さを言う。
具体的にはこういう事なの。
翼の上を通る空気と下を通る空気が、
同じ時間で又合流するとしたら、
どっちの空気の流れが速くなるかしら?
それは、勿論、
上の空気の流れの方が速いですね。
そう。空気の流速に上下差が出るわよね?
そうすると、翼の上下の流速差は
そのまま圧力差になって現れます。
どっちの圧力が高い?
・・・・。上?
ブブー。違うわね。流体力学に
「ベンチュリー管の原理」というのが
有るんだけど、それによると、
「流れの速い空気の有る所では、
流れの遅い所より側面に及ぼす
圧力が低くなる」と言うのが有るの。
流速が早いほうが圧力が低いと言うことが
判ったかしら?つまり、流れの速い翼の上面の
方が、流れの遅い翼の下面より圧力が低いの。
じゃぁ、下の方が上より圧力が
高いと言うことは・・・さて翼はどうなるかしら?
・・・・・あ、上に押されて上がっていく。
そうね、それが「揚力」なの。
成る程ー!

実際には、「層流翼」という上下対象翼に
代表されるように、必ずしも基本の
翼形どうりではないんだけど、
翼は飛行機の中心軸より
上向きに取り付けられているから、結果、
上で説明したのと同じ効果が得られるの。
これは「取り付け角」って呼ばれてるわ。
これは、ライト兄弟の「ライトフライヤー号」からの
歴代の代表的な翼形です。色々な形が
あるでしょ?
さて、揚力というのは一定じゃないの。
ある要素によって増減するんだけど、
それが何だか判るかしら?
え・・・えーと・・・。
ス、スピードかな?
ピンポーン♪
それとね、もう一つ重要な要素があるのよ。
それは「迎え角」と呼ばれている物なの。
「迎え角」?
そう。翼と風の相対的な角度を言います。
単純にこの角度が大きくなれば成る程
「揚力」は大きくなるの。





だけど、無限に揚力が増える訳じゃなくて、
角度が一定以上になると有る現象が
起こります。「失速」と言う言葉は
聞いたことは有るわよね?
はい。
翼には、全く揚力を発生しない「零揚力角」
と言う角度から、徐々に「迎え角」を増す
ごとに揚力を増していって、最大揚力を発生する
「最大揚力係数」という点に達します。
また、この角度は同時に「失速角」とも呼ばれて
この角度以上の迎え角では機体を維持する
「揚力」を発生しなくなります。
じゃぁ、何故失速するか判るかしら?
うーん。ちょっと判りませんねぇー。
何ででしょう?
.....。
角度が急すぎて空気が行き渡らないトカ?
たはは・・・・。
いや、言ってみただけ。
ゴメン。
そう!!よく気が付いたわねー!
楓ちゃん冴えてるー!
ウッソー!?テキトーに言ったのに!
飛行中の翼の上では、
常に「剥離(はくり)」という、翼の上面から
空気の流れが剥がれ落ちていく現象が
起こってるんだけど、「迎え角」が「失速角」に
達すると、翼の上面の空気は揚力を維持する
為の空気の流れを得ることが出来なくなる訳ね。
それが、「失速」のメカニズムな訳。
さて、皆さん、お疲れさまー!
今回の講座はココまでです。
まだまだ話したいことはいっぱいあるけど、
紙面の関係上、今回はとりあえずこれで
終わりにしますね。
又の機会に、「翼」のやり残した事について
お話ししたいと思います。

「剥離」

リクエストお待ちしてまーす。それじゃー、又ねー!!







参考文献:

航空工学入門(日本航空技術協会)
新航空工学講座 飛行機構造(日本航空技術協会)