航空講座

第四回:「動翼(エルロン・ラダー・エレベーター)とフラップ」

ハーイ、皆さんこんにちはー!
楓ちゃんでーす。
今日は「どうよく」についてでーす。
それでは講師のいぶきさん、どぉぞー!
か、楓ちゃん、ヤケにハイテンションね、
何か有ったの?
え?い、いやー、ホラ、久しぶりだからサ。
なんかこぅ、アッピールしたいなー、
なんて、ハハ・・。
はぁーい!
私知ってまーす!何でおねーちゃんが
ハイテンションなのかぁ・・。
あ!!コラ!こずえ!
シー!シー!言っちゃ駄目!
ま、まぁ、ソレは置いといて、
そろそろ始めましょうか・・。
今日のテーマは「動翼」です。
「動翼」と言うのは、読んで字のごとく
「動く翼」の事です。
これには「エルロン」「ラダー」
「エレベーター」があるの。
後、今回はついでに「フラップ」についても
説明します。
「動く翼」?それじゃー何?
鳥みたいに翼がバサバサ羽ばたくっていう訳?
あはは、、違うわよ。
動翼は飛行機をコントロールをするのに
欠かせない物なのよ。
つまり、操縦するときに動く「可動式の翼」な訳。
あ、そっか。
じゃぁ操縦桿に繋がってる翼な訳ね。
そうそう。
うーん、
飛行機ってどうやって方向変えたり上昇したり
してるか、今まで考えた事もなかったけどぉ・・・。
そうね、
でもそんなに難しい原理じゃないのよ。
それじゃぁ、まず動翼の基本的な
理屈から行くわね。
第一回の「翼」の時にやったと思うけど、
二人とも「揚力」って覚えてる?
あ、はい。どうして飛行機が飛んでるか、
っていうアレですよね。
翼の上と下では圧力差があって、
下の圧力の方が強くて
上に上がって行くんですよね?
そう。じゃぁ、翼をどうすると揚力が
増大するかは覚えているかしら?
「迎え角」が大きくなると
揚力も大きくなるのよね。
それで、大きすぎると失速するの。
はい、その通りね。
飛行機をコントロールする「動翼」も、
この原理を使っているのよ。






この図を見て。
上の状態が動翼をニュートラルにした場合。
下の状態が動かした場合。
さて、揚力はどうなるかしら?
んん〜。見た感じ、下の方が揚力大きそう、
でも空気抵抗も大きそうですね。
おお!?梢ちゃんズバリ大正解!
そう、揚力と同時に「抗力(ドラッグ)」も
大きくなるの。良く気づいたわねー。
偉い偉い。
翼の上下の中心線をキャンバー線って
言うんだけど、
@の状態は仮想キャンバーが深くなる、
つまり同じ方向から風を受けていても
より大きな揚力を得ることになるの。
つまり、右の図で行くと、より上に上がろうと
するのね。Aはその逆で、キャンバー線
が浅くなるから揚力が減る訳。
それじゃー、実際にどうやって飛行機が
動翼によって動いているかを、それぞれ
説明するわね。










まずはエレベーターから行くわね。
その名の通り、飛行機の上下動に関わる
動翼なの。これは水平尾翼についてるの。
場所は右の図の通りね。
さて、ここで問題です。
右の写真は飛行機の操縦に使う
操縦輪(コントロールホイール)なんだけど、
引いた場合は飛行機は上昇して、
押した場合は降下します。
では、その時に水平尾翼の動きは
それぞれどうなると思う?
う、うーん。@が揚力が大きくなるから
上昇で、Aが揚力が小さくなるから降下です。
うーん、残念。その逆なの。
えぇ!?何でですかぁ!?



確かに、梢ちゃんの言うとおり、@は揚力が
大きくなってAは小さくなるけど、
ここで考えて欲しいのは、通常、飛行機の
水平尾翼は機体の最後尾に付いていると
言う事ね。@の状態で後ろの揚力が
大きくなった機体は機首を下げて降下します。
逆にAの状態で後ろの揚力が小さくなった
機体は機首を上げて上昇するの。
へぇー!!成る程ぉ!
じゃぁ次は横の動きよ。ラダーについての
質問は楓ちゃんに答えて貰おうかな♪
え?あたし?
















大丈夫!今やったエレベーターを横にして
考えればスグに判るわよ。ラダーは垂直尾翼に
付いています。さて、ラダーはラダーペダルで
操作します。つまり足で操作する訳ね。
ラダーを右に蹴れば飛行機は右旋回。
左に蹴ったら左旋回しますが、
@Aのどちらが右旋回時でしょうか?
え、えーっと・・・。
@の場合は右の方の圧力が大きくなるから、
尾翼は左に押されるでしょ?・・・だから機首は
反対方向の右に・・・。
あ!判った!@が右旋回でAが左旋回ね!
はーい、ご名答!


ラダー

じゃぁ次はエルロンね。
これはラダーやエレベーターと違って、ちょっと
変わった動きをするの。
エルロンの取り付け位置は左右主翼の後縁に
有るんだけど、右と左が上下反対方向に
動きます。つまり、片方の揚力を増大させて
もう片方の揚力を減少させる訳。
そうする事で、ラダーとは違って機体は
進行方向を軸に回転する格好になります。
エルロンは操縦輪を右に切ると右旋転、
左に切ると左旋転するんだけど、
操縦士は調和の取れた旋回をするには
ラダーとエルロン、時にはエレベーターを
全て使わないといけないの。
これを「3舵の調和」と言っています。
うーん、自動車なんかと違って、ただ
ハンドルを右左に切るだけじゃー
駄目なんですね。


そうね、計器に「すべり計」(通称「ボール」)
と言うのが有るんだけど、
旋回中に上手く調和が取れていないと、
このボールが、左右どちらかにズレるの。
操縦士はこれが計器の中央になるように
旋回します。これを俗に「ボール・センター」
と呼んでるわね。
ちなみに、エレベーターでの動きを
「ピッチング」(ピッチ)、
ラダーでの動きを「ヨーイング」(ヨー)、
エルロンでの動きを「ローリング」(ロール)
と言います。
さて、最後にフラップね。
これは、今までの3舵とはちょっと使い方が
違うの。主に離着陸の時に使用します。
フラップは日本語では「高揚力装置」
と言われてるわね。
高揚力装置?
そう、飛行機は、なるべく少ない速度、
短い滑走距離で離着陸したいんだけど、
そこで考えだされたのがフラップです。
巡航時には@図の様に主翼に格納されていて
使用時に操縦席の「フラップレバー」で
操作します(図A)
通常何段階かのフラップ角度に
調整できるようになってるわね。
フラップを出すことによって、キャンバー線が
変わって、揚力と抗力が増大します。
結果、失速速度が少なくなって、巡航時
よりも少ない速度で離着陸出来るの。
つまり、滑走距離も格段に短くて済む訳。
へー、良く考えられているんですね。



初期の「単純フラップ」から、
大揚力を発生する「三重隙間フラップ」迄、
数多くのフラップが考案されてきました。
又、大型機には翼の前面に「前縁フラップ」
を装備した物も有ります。
第二次大戦位迄は、フラップは空中戦を
有利に戦うためにも頻繁に使われていました。
これは旋回性能が良くなるからなの。
中でも日本海軍の戦闘機「紫電改」には、
「自動空戦フラップ」という物が付いていました。
これは水銀柱で作られた「Gメーター」が、
ある設定されたGを感知すると(旋回中は
バンク角が深くなればなる程強いGが掛かる)
自動的にフラップが出て、旋回半径を小さく
するという優れ物でした。
はい、今日の講座はこれでおしまい。
・・・所で楓ちゃん、さっきの話だけど、
一体何が有ったのかな〜♪
え!?いや・・、たはは、な、なんでも
ないわよ〜、や〜ね、いぶきさん。
えへへ!
は〜い!!私、知ってま〜す!!!
あー!?コ、コラァ!もぉ!!!





それじゃ〜、又ね〜!